※ご注意※
リバ描写があります!!
気持ちは独伊ですが、次回で物理的にドイツさんに指が入って(予定15禁程度)いますので、充分お気をつけください。ドイツさんへの性器の挿入はありません。


















おねだり 1

「いや、俺は別に決めてないけど」
「ヴェッ、そーなんだ…?」
 イタリアは目を丸くして隣のフランスを見上げた。フランスはグラスに口を付け、淡々と言う。
「ま、相手によって臨機応変にって感じだな。そんなの意識したこともなかったな。あるがままにっていうか、流れに任せてるな」
「え、じゃあ兄ちゃんも入れられることがあるの??」
 驚きのまま大きい声で話したイタリアの耳を、フランスは引っ張る。
「いたいいたい」
「声がでかい」
 グッと顔を寄せると、ややトーンを落として続けた。
「あるさ。だってよ、同じもんついてんだから気持ちはわかるだろ? どっちかだけがなんて……、まあ、話し合ったり、嗜好の問題なら別だけど」
「俺、兄ちゃんて女の人以外だと、綺麗な男の子…?とかそんな相手だと思ってたからさ」
「年も性別も関係ないのよ。お兄さんはね、心の美しい人を求めているというわけだ」
「そっか……」
 イタリアは頷きながらグラスを傾けた。頭に浮かぶのは、自分とドイツのことだ。
「……おまえ、何? ドイツのこと?」
「ヴェッ、えっ……? 兄ちゃん知ってたの?」
 フランスはニヤッと笑う。
「そうかぁ……。おまえ、やられっぱなしなわけね」
「……変かなぁ?」
「あーよくない! それはよくない!」
 カウンターにグラスを置いたフランスは、イタリアの肩を大げさに抱きよせる。
「一度もないのか?」
「ヴぇ……うん…」
「やりたいと思ったことはあるんだろ?」
「う、うん…? どうかなぁ」
 イタリアは首をひねる。今フランスの話を聴くまで、とくに疑問に思ったこともなかった。ドイツとは初めからそうだったから、ドイツを抱くというのはあんまりピンとこなかった。しかし確かに自分にも雄がついている。それは最中に放って置かれることなんてなかったけれど。
「あのなー、普通は聞いてくるもんだぜ。ドイツはマニュアル人間だからよ、読んだ本に書いてあったことを信じたままなんだな。おまえから言ってやれよ。このままじゃ不公平だろ」
「ふこうへい……」
「愛し合ってるなら、対等だろ。おまえだってさぁ、自分のであいつがよがる姿見てみたいんじゃない?」
 そう尋ねられ、イタリアは難しい顔をして唸った。確かにドイツが自分にしていることだから、できないはずはないし、快感もあるはずだ。しかし、ドイツが気持ちよさそうにしているところはもう何度も見ている。挿れるほうと挿れられるほうでは、気持ちよさの度合いはそんなに違うのだろうか…。
「兄ちゃんは、入れられるときどんな気持ちなの?」
「そりゃあ、好きな相手なんだから興奮してるぜ」
 イタリアは、確かに自分もそうだと思った。いつも異様に期待して興奮しているし、最中はドイツをより近くに感じて多幸感を得られる。
「でも俺、このままでいいかなぁ」
「なんでよ」
「だって俺も気持ちいいし、ドイツもそうみたいだよ」
「……イタリア。おまえがなんでそんなに満足してるのか知らねーけど……、おまえだって、あいつの研究熱心は知ってるだろ」
「うん」
「体位試すくらいならまだいいけどよ。このままだと、そのうち縛るだのこれ銜えろだのうるさく言ってくると思うぜ」
「ヴェッ…!!?」
 イタリアは心臓が飛びはねた。まさについこのまえ、ドイツが拘束具と言われるものを一式ベッド脇に用意していたのだ。結局使われることはなかった。しかしイタリアもずっと気にしていたことだったから、フランスに言い当てられて驚いてしまった。動揺からフランスは何かを察したのか、また微笑む。
「あいつに余裕もたせてやってるから、そっちまでいっちまうんだよ」
「そっかなー……」
「ようは駆け引きだ。あいつがそんなこと考える隙をなくしちまえよ。あいつ、おまえにお願いされたら、文句言っても最後は必ず折れるだろ。それだけ大事にしてるんだから、おまえがやりたいって言えば、ぜーったいやらせてくれるって!」

 フランスは外灯の少ない夜道を歩きながら、1人ほくそ笑む。はっぱをかけたイタリアは、頑張ってみるね!と言って手を振り去った。うまくいっているカップルには、多少のスパイスも必要なのだ。
 先月ドイツの納得のいかない書類にサインをしたばかりだった。もちろんその腹いせでもある。
「対等ね……」
 そんな関係が一番難しいことをフランスはよく知っていた。


つづく
2012.04.23